CNC旋盤の基礎知識と特徴【2024年最新情報】
- waki11
- 1月16日
- 読了時間: 9分

みなさんはCNC旋盤という工作機械をご存知ですか?
NC旋盤という名称の方が聴き馴染みがある方も多いかと思います。
今回は弊社でも稼働しているCNC旋盤についてNC旋盤との違いも含めて初めて聞く方にも分かりやすくご紹介していきます。
ーもくじー
CNC旋盤とNC旋盤の違い
CNC旋盤とは?
CNC旋盤は、NC旋盤にコンピュータ(Computerized)が加わった進化版です。
NC旋盤では「決められた動き」しかできませんでしたが、CNC旋盤ではコンピュータが搭載されているため、複雑な指示や変更にも柔軟に対応できるようになったのが大きな特徴です。
具体的な進化ポイント
1. 柔軟なプログラム制御
CNC旋盤では、GコードやMコードというプログラムを使って加工を指示します。
このプログラムは編集が簡単で、削り方や速度、位置などをすぐに変更できます。
2. CAD/CAMとの連携
CAD(設計ソフト)で描いた図面データをCAM(加工ソフト)に渡すことで、自動的に加工プログラムを生成可能。
これにより、設計から加工までの効率が大幅に向上しました。
3. 複雑な形状の加工
NC旋盤では難しかった複雑な曲面や多面体の加工も、CNC旋盤ならスムーズにこなせます。
たとえば、自動車や航空機のエンジン部品のような、非常に高い精度と多様な形状が求められる部品に対応可能です。
特徴と利点
• プログラム変更が簡単で、多品種少量生産に対応。
• 無人運転が可能で、大量生産時の効率も良い。
• 切削条件や動作をリアルタイムで調整できる柔軟性がある。
例えるなら「レシピだけでなく、味見をしながら調整できるシェフロボット」
しかも、設計図を渡せばその場で料理法を考えてくれます。
NC旋盤とは?
NC旋盤は、数値制御(Numerical Control)の仕組みを使って動く旋盤です。
昔、職人さんが手作業でハンドルを回して部品を削っていた時代がありました。
その作業を「数値データ」として機械に教えることで、手動の作業を自動化したのがNC旋盤です。
たとえば、ネジを作る場合、刃物をどのくらいの速さで動かすか、どの方向にどれだけ進めるか、部品をどれだけ回転させるかといった指示を事前にプログラム化します。
その指示通りに動くので、同じ形のネジを大量に正確に作れるのが特徴です。
特徴と限界
• プログラムが決められているので、単純な形状や繰り返し作業には強い。
• ただし、少しでも加工内容を変えたいときは、新しくプログラムを作り直す必要があるので手間がかかる。
例えるなら「レシピ通りに動くロボット」。
レシピを変えるには新しいカードが必要です。
CNC旋盤はNC旋盤として呼ばれている
ここまでCNC旋盤の特徴とにた言葉としてNC旋盤について説明しました。
前述のとおり「NC旋盤」と「CNC旋盤」は技術的には違いがありますが、多くの旋盤がCNC旋盤がとなっている現状では、NC旋盤というとCNC旋盤のこと指す場合がほとんどです。
NC旋盤の技術が先に広まり、長い間使われてきた「NC」という言葉が馴染み深く、CNC旋盤も簡略化して「NC旋盤」と呼ばれています。
また、両者とも数値で制御する旋盤であるため、基本的な使い方や原理が似ているからとも言われています。
実際の用途と使い分け
• NC旋盤は、同じ形の部品を大量生産する場合に活躍。
たとえば、ボルトやシャフトのようにシンプルな形状の部品を作るときに効率的です。
• CNC旋盤は、形状が複雑な部品や、少量しか作らない特注部品を加工するのに適しています。
特に、自動車や航空宇宙、医療分野など、高い精度と多様な形状が求められる分野で不可欠です。
まとめると…
NC旋盤は「機械が職人の手を助ける装置」、CNC旋盤は「機械が職人の頭脳まで補ってくれる装置」です。
現代ではCNC旋盤が主流ですが、NC旋盤もコストを抑えたい場合や単純な加工にはまだまだ使われています。それぞれの特性を理解して、適材適所で使い分けることがポイントです!
CNC旋盤のメリットとデメリット
メリット:自動制御によって自動加工ができる
あらかじめ設定されたプログラムに則って自動加工が制御・実行されるため、個々の作業者の旋盤技術や経験といった属人的要素が加工品質に影響しなくなります。
プログラムに基づいて2軸以上(縦横(x,y)方向、前後(z)方向)を同時に正確に動かすことができるため、円弧などの曲面や複雑な形状の加工を、高精度で行うことができます。
プログラムに基づいて自動で加工が行われるため、製品の品質を比較的安定させることができます。
熟練工の高齢化や、人材が不足するなかで、経験の浅い作業員でもマニュアルを用意することでベテランと同様の生産作業に従事できることはメリットです。
デメリット:高額の導入コストがかかる
CNC旋盤を導入する場合、当然ながら導入にあたっての費用が高いことでしょう。
CNC旋盤は従来の機械の部分に加えて制御を行う装置、そしてプログラミングするソフトウェアが必要になります。
小型のCNC旋盤であれば数百万円で導入できたとして、同じレベルの機能であっても対象ワークのサイズが大きくなれば数千万円の導入コストがかかることもあります。
デメリット:加工前の準備が多い
従来の段取り作業に加えて複数の刃物の取り付け、プログラミングが必要で、段取り作業の時間・労力が増えます。
CNC旋盤では旋盤を操作する技術といった属人性を解消できるものの、今度はコンピュータを使ってCNCプログラムを作成・入力するというスキルが必要になります。
そのため、これから初めてNC旋盤を導入しようとする場合、改めてコンピュータの操作方法やプログラムの作成手順などについて学ばなければなりません
CNC旋盤でできる加工について

CNC旋盤でできる加工について詳しく解説します。CNC旋盤はコンピュータ制御で動くため、高精度で多様な加工が可能です。以下に主な加工内容とその特徴をまとめます。
1. 外径加工(Turning)
• 内容: 部品の外側を削り、円筒形やテーパー形状を作る加工。
• 用途: シャフト、軸、ローラーなどの部品加工。
• 例: 自動車のドライブシャフトやボルト。
• 特徴:
• 外径の直径やテーパー角度を正確に加工可能。
• 部品の長さや表面粗さを精密に制御できます。
2. 内径加工(Boring)
• 内容: 部品の内側を削り、円筒形やテーパー状の穴を作る加工。
• 用途: ベアリングハウジング、パイプの内面加工など。
• 例: エンジンのシリンダー内部や、機械部品のベアリングケース。
• 特徴:
• 内径の直径や深さを正確に調整可能。
• CNC制御で非常に高精度な穴加工ができる。
3. 面加工(Facing)
• 内容: 部品の端面を平らに削る加工。
• 用途: 部品の長さを調整したり、端面を仕上げる際に使用。
• 例: フランジの接合面や金属プレートの端面加工。
• 特徴:
• 面の平面度や仕上げの滑らかさを高精度に仕上げられる。
4. ねじ切り加工(Threading)
• 内容: 外径または内径にねじ山を切る加工。
• 用途: ボルトやナット、パイプ接続部の加工。
• 例: 各種ネジ、ねじ付きシャフト。
• 特徴:
• メートルねじ、インチねじ、トラピーズねじなど、さまざまな規格のねじ加工が可能。
• CNCのプログラムでねじ山のピッチや深さを自由に調整できる。
5. 溝入れ加工(Grooving)
• 内容: 部品の外径や内径に溝を作る加工。
• 用途: Oリング溝やスナップリング溝の作成。
• 例: ポンプのシール部品、シャフトの止め輪用溝。
• 特徴:
• 溝の幅、深さを精密に制御可能。
• 複数の溝を効率的に加工できる。
6. 複合加工(Complex Turning)
• 内容: 円筒形以外の形状や、特殊なカーブ、段差を作る加工。
• 用途: デザイン性の高い部品や精密な機械部品。
• 例: カムシャフト、特殊なプロファイル形状の部品。
• 特徴:
• CNC制御により、曲線や複雑な形状を正確に加工可能。
• プログラム次第でさまざまなデザインに対応。
7. 穴あけ加工(Drilling)
• 内容: 部品に正確な位置で穴を開ける加工。
• 用途: ボルト穴、ピン穴、部品接合用の穴。
• 例: フランジのボルト穴や、ハブの取り付け穴。
• 特徴:
• 深い穴や正確な位置が求められる加工に対応。
• ドリルのサイズを変更することで、幅広い直径に対応可能。
8. 高精度仕上げ(Finishing)
• 内容: 最終的な寸法調整や表面の仕上げを行う加工。
• 用途: 部品の精密仕上げ。
• 例: ミラー仕上げのシャフトや表面が滑らかな部品。
• 特徴:
• 表面粗さをナノレベルで制御可能。
• 特に高精度が求められる航空宇宙や医療部品の仕上げに最適。
9. 多軸加工(Multi-Axis Turning)
• 内容: 旋盤の回転軸に加え、複数の方向から加工を行う。
• 用途: 複雑な3D形状の部品を一度のセットアップで加工。
• 例: 航空機のタービンブレードや特殊形状のエンジン部品。
• 特徴:
• 複数工程を1回で完了させる効率性。
• 高精度かつ多様な形状に対応。
10. 偏心加工(Eccentric Turning)
• 内容: 部品の中心からずれた位置に円筒形や溝を加工する。
• 用途: カムや特殊軸形状の作成。
• 例: カムシャフトや不均等ローラー。
• 特徴:
• 偏心した回転形状の加工に対応可能。
• 通常の旋盤では難しい作業が得意。
まとめ:CNC旋盤とは、コンピュータを使って精密に加工を行う工作機械
CNC旋盤についてご説明しました。
NC旋盤が比較的シンプルな形状の大量生産に適しているのに対し、CNC旋盤は複雑な形状や多品種・少量生産にも対応できる点が大きな特徴です。
まとめるとCNC旋盤は、以下のような幅広い加工に対応できるのが特徴です
• 精密な加工(高精度な寸法・仕上げが求められる部品)
• 複雑な形状の部品(曲面や偏心形状)
• 多品種少量生産(柔軟にプログラムを変更可能)
また、CNC旋盤はCADやCAMと連携することで、設計から加工までの工程を効率化できるため、短納期や高品質を実現するのに最適です。
一方で、導入コストやプログラム作成の手間が課題となることもありますが、その高精度な仕上がりと柔軟な対応力が多くのメリットを生み出します。
こんなお悩みありませんか? |
複雑な部品の加工に対応できる工場を探している |
少量生産でも対応可能な加工業者を見つけたい |
精密加工の相談や見積もりが欲しい |
当社では、多くのCNC旋盤を活用した精密加工を行っており、お客様の多様なニーズにお応えしています!
ぜひお気軽にお問い合わせください。
見積もりのご依頼も随時受け付けております。
Comments