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【ねじ規格徹底比較】メートルねじ・インチねじ・台形ねじ・ボールねじの特徴と用途

  • waki11
  • 12 分前
  • 読了時間: 8分
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普段、私たちの身の回りにある家電や家具、そして街の建物まで、あらゆる場所に使われている「ねじ」。


一見するとどれも同じように見えますが、実は国や用途によって、さまざまな種類や規格があることをご存知でしょうか?


「M8って何を表しているの?」

「海外製品のねじがどうしても入らない……」


そんな疑問やトラブルの原因は、ねじの規格違いにあるかもしれません。


また、世の中には「物を固定するためのねじ」だけでなく、機械を動かすために「力を伝えるねじ」も存在します。


この記事では、


・世界で最も使われている「メートルねじ(Mねじ)」

・アメリカなどで主流の「インチねじ」

・機械を動かすための特殊な「台形ねじ」「ボールねじ」


について解説します。


モノづくりの現場を支える私たちが、できる限り分かりやすく、ねじの奥深い世界をご案内します。


読んだ後には、ホームセンターや街中で見かけるねじの見え方が少し変わるかもしれません。




メートルねじ(Mねじ)

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●Mねじとは?

Mねじとはメートルねじと呼ばれているねじで、ISO(国際標準化機構)で標準かれているねじの一種です。



●Mねじの特徴

Mねじは、世界的に最も広く使われているねじ規格です。

日本でもJIS(日本産業規格)によって規格化されています。


ねじ山(山と谷)の角度が60°であるのが特徴です。

ねじ山の断面形状は、頂上が平らに切り取られた平らな三角形(台形に近い)になっています。


寸法を「ミリメートル」で表します。これがミリメートルねじという名前の由来です。

通常「M」の文字の後に呼び径(ねじの外径、6mmならM6となります)をつけて表記します。

例:M8(呼び径8mmのメートルねじ)



●Mねじの用途


・製造装置

機械のフレームやベースを強固に連結して、振動負荷に耐えられるようにします。



・建設、建築

ビルや橋、鉄骨構造物の柱や梁などの接合部に、M規格の高力ボルト(通常のボルトより高い引張強度、耐久を持つボルト)が使われ構造全体の強度を支えます。



●Mねじのメリット・デメリット


・メリット

MねじはISO(国際標準化機構)で規格化されているので、国、メーカー問わず互換性があり、どこでも入手可能です。

最も普及している規格のねじのため、安価で在庫も豊富です。



・デメリット

「M」の後の数字は呼び径を表しますが、ねじの頭(六角部のサイズ)は呼び径とは異なるため、サイズを間違えるミスが発生することがあります。

ねじ山が薄く、潰れやすいため組み立てや再組み立ての際に、慎重な取り扱いが必要です。




インチねじ


●インチねじとは?


「インチねじ」は、主にアメリカやイギリスなどで使用されているネジ規格で、ねじのサイズやピッチ(ねじ山の間隔)がインチ単位で示されるものです。


例えば、「1/4-20UNC」という表記があった場合、"1/4"はねじのサイズ(直径)、"20"は1インチあたりのねじ山の数(ピッチ)を示しています。

(1インチ=25.4mm ピッチを求める場合は、25.4mm÷山数)



●インチねじの特徴


インチ単位で規格

インチねじは、サイズ(外径)やピッチ(ねじ山の間隔)をインチ単位で規定します。日本の「ミリねじ」とは異なり、インチ単位で作られているため、特に海外の製品や機器との互換性が求められる場合に使用されます。



●インチねじの種類

インチねじ(Unified Thread:ユニファイねじ)には、主に以下の種類があります。用途やねじ山の粗さによって分類されます。



・UNC(Unified National Coarse)


最も一般的な「並目ねじ」。

耐久性が高く、汚れや傷に強い。


例:1/4-20(1/4インチ径・20 TPI)


用途:機械、建築、自動車など幅広い



・UNF(Unified National Fine)


UNCより山が細かい「細目ねじ」。


例:1/4-28(1/4インチ径・28 TPI)


用途:振動が多い場所、精密機器、航空機など



・UNEf(Unified National Extra Fine)


UNFよりさらに細かい。

限られたサイズでのみ使用される。


用途:航空宇宙や特殊機器



・UN(Unified National)規格の呼び方


インチねじの表記は通常次の形式:


直径(インチ) - TPI(山数)

例:1/4-20 UNC



●特殊なインチねじ


NPT(National Pipe Thread)


配管などに使うテーパー(おねじ側が締まるほど太くなる)ねじ。


・NPT(一般的)

・NPTF(漏れ防止タイプ)

・UNJねじ(航空機用)


航空宇宙向けの特殊インチねじ。

ねじ山の谷が丸く加工されていて疲労強度が高い。


●British 系のインチねじ(注意:アメリカのインチねじとは別規格)


イギリスの並目ねじ(ウィットウォース規格)


・ BSW(ウィットねじ)

・ BSF(ウィット細目)

・ BSP(配管用)


G(平行)/ R(テーパ)など


※同じインチ系でもアメリカ規格とイギリス規格は互換性なし。



●規格名のまとめ

規格名

特徴

UNC

並目、最も一般的

UNF

細目、振動に強い

UNEF

超細目、特殊用途

NPT/NPTF

テーパ管用ねじ

UNJ

航空機用高強度

BSW/BSF/BSP

イギリス系(アメリカ規格と互換なし)


●インチねじの使用用途例


・機械・自動車産業

アメリカなどでは、車両の組立やエンジンの部品にインチねじを多く使用しています。特に、アメリカ製の車両や機械機器にはインチねじが多いです。



・航空機・船舶

航空機や船舶の製造においても、インチねじはよく使用されています。特に米国製の航空機や船舶機器には、インチねじの使用が一般的です。



・家電・電子機器

一部の家電や電子機器の組み立てにもインチねじが使用されています。特に、アメリカ製の家電製品などではインチねじを見かけることがあります。




●インチねじのメリット


・規格が確立されている

インチねじは、長年にわたって確立された規格があり、国際的に広く使用されているため、海外製品や機器と互換性を持ちやすいです。



・適用範囲が広い

多くの産業で使用されるため、種類が豊富で、用途に応じたサイズやピッチを選択できます。



・強度と耐久性

インチねじは、機械や自動車産業で使用されることが多く、強度や耐久性が高いという特徴があります。




●インチねじのデメリット


・精度が低くなる可能性がある

ミリねじに比べて、寸法の誤差が大きくなる可能性があります。特に、精密機械や高精度が求められる場所では不向きな場合もあります。



・工具の選定が難しい

日本で主流のミリねじに比べて、インチねじ用の工具が限られているため、特定の作業を行うためには専門的な工具を準備する必要があります。



・輸入品との互換性問題

日本国内で流通している製品において、インチねじとミリねじが混在していることがあり、互換性の問題が発生することがあります。これにより、ネジの交換や修理時に注意が必要です。




台形ねじ


●台形ねじとは?

 台形ねじとは、ねじ山の断面形状が‘‘台形(梯形)‘‘になっているねじのことです。

 英語ではTrapezoidal Thread(トラぺゾイダルねじ)と呼ばれています。



●特徴

 ・ねじ山角度が一般に30°(メートル台形ねじでは「Tr30×6」などの表記)。


 ・摩擦が小さく、効率よく力を伝えられるため、動力伝達用途に適してる。 

 

 強度が高く、摩耗に強い


規格

 台形ねじ(Trねじ)には国際規格(ISO)およびドイツ規格(DIN)が代表的に存在し  ます。

 日本では、JIS(日本工業規格)に台形ねじの独自規格はなく、

 機械要素では、ISOまたはDINが実質的な標準として使用されています。


●台形ねじのメリット・デメリット


 ○メリット

  ・力の伝達効率が高い。

  ・摩耗・破損に強い。

  ・逆転しにくい(場合によっては自動ロック性があり)。


 ○デメリット

  ・ボールねじほど効率は高くない。

  ・回転速度が高い用途には不向き。

  ・摩擦が多いので高速運動では発熱しやすい。



●主な用途

 台形ねじは、主に「力を確実に伝える必要がある装置」に使われます。


・リードスクリュー(送りねじ)

 工作機械(フライス盤・旋盤)、3Dプリンター、測定機器の送り機構。


・ジャッキ、プレス機

 大きな力をゆっくり伝える用途。


・バルブの開閉機構

 シール性を保ちながら確実に力を伝える必要がある場面。




ボールねじ


ボールねじとは?

 ボールねじとは回転運動をとても滑らかな直線運動に変えるための機械要素



●特徴

  • 摩擦がとても少ない

    ネジとナットの間でボールが転がるため、普通のネジのようなすべり摩擦より圧倒的に軽く動く


  • 高い位置決め精度

    ガタが小さく、ミクロ単位の精密な位置決めができる


  • 耐久性が高い

    接触が転がりなので摩耗が少なく長寿命


  • 重いものをスムーズに動かせる

    摩擦が小さく少しの力で大きなものを軽く滑らかに動かせる



●規格

 JIS(日本工業規格)JIS B 1192(ISO 3408準拠)がボールねじの代表的な規格で精度等級(C0,C1,C3,C5,C7,C10)と精度項目(リード精度、振れ、予圧トルク変動率など)が定められている。

 ほかにもボールねじには国際規格(ISO)およびドイツ規格(DIN)が存在する。 

 


●ボールねじのメリット・デメリット


 ○メリット

  • 摩擦が小さく軽い力で動く

  • 高い位置決め精度

  • 繰り返し精度が良い

  • 寿命が長い(耐摩耗性が高い)

  • 高速送りが可能



 ○デメリット

  • 逆駆動(バックドライブ)が起きやすい

  • コストが高い

  • 衝撃や汚れに弱い

  • ガタがゼロではない

  • メンテナンスが必要

  

  


●主な用途


 ボールネジは回転運動を正確な直線運動に返還す必要がある様々な産業機器に広く使われている。


  • 工作機械の送り装置(CNC旋盤・マシニング)

  • ロボットのアクチュエータ

  • 半導体製造装置

  • 医療関連機器など




ねじのまとめ


今回は、代表的な4種類のねじ(メートルねじ、インチねじ、台形ねじ、ボールねじ)について解説しました。


記事を通して見えてきたのは、「ねじは適材適所」ということです。

  • 世界標準で入手しやすい「メートルねじ」

  • 航空機やアメリカ製品に欠かせない「インチねじ」

  • 重いものを力強く動かす「台形ねじ」

  • ロボットのように精密な動きを支える「ボールねじ」


単に部品を留めるだけでなく、巨大な橋を支えたり、精密機械をミクロ単位で動かしたりと、ねじは現代社会の「縁の下の力持ち」として活躍しています。


もしねじ選びに迷ったら、それぞれの「得意分野」を思い出してみてください。


株式会社ヤマトでは、こうした多様な部品の特性を熟知し、最適なモノづくりに取り組んでいます。


「こんな加工はできる?」「この部品について相談したい」ということがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。



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