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バリ取りとは?プロが語るバリ取りについての基本的な知識と工夫や対策

  • waki11
  • 9月1日
  • 読了時間: 8分
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ものづくりの現場では、金属やプラスチックを加工したときに「バリ」と呼ばれる小さな突起やギザギザができることがあります。


このバリをそのままにしておくと、部品がうまくはまらなかったり、ケガの原因になったりすることもあります。


そこで大切なのが「バリ取り」という作業です。

この記事では、


  • バリって何?

  • どうしてできるの?

  • どうやって取るの?


といった基本的なことから


手作業や機械を使ったバリ取りの方法

バリを防ぐための工夫


などを、わかりやすく紹介していきます。




バリ取りの基本知識



バリとは何か?


バリとは金属加工や樹脂などを加工したとときに、製品の端や切り口にできる余分な突起やギザギザのことを言います。

例えば、紙をはさみで切ると切り口が少し毛羽立つことがありますよね。

金属や樹脂でも同じように毛羽立つことがあり、これを「バリ」と呼びます。


見た目は小さなカケラやとげのように見えることもあれば、薄い膜がめくれたようになっている場合もあります。


バリ取りはなぜ発生するのか?


バリは加工時に材料が削り切れずに残ることや押し出されて変形することが原因で発生します。代表的な例を挙げると以下の通りです。


1.切削加工

ドリルで穴をあけたり、フライスや旋盤で削ったりすると、最後の部分で材料がちぎれるようになります。

そのとき切れ端が飛び出してバリになることがあります。


2.プレス加工

金型を使って金属や樹脂を成型すると、型の隙間に材料が入り込んで薄い膜のようなバリが出ます。


3.せん断加工

金属板を打ち抜いたり、はさみのような工具で切ると、材料の端が押しつぶされて盛り上がりそこがバリになります。


加工方法以外にもバリが発生する例


・加工する道具(刃物や金型)の摩耗

・材料の硬さや粘り気

・工程の条件設定

・加工の終了部


こうした要因が重なることで、バリが発生してしまいます。


以上のことから適切な管理を行わなければ、バリは必ずといっていいほど発生してしまいます。




バリが引き起こすトラブル


バリが残っていると、思わぬ不具合につながることがあります。

部品がうまくはまらなかったり、液体やガスが漏れたり、動作がスムーズにいかなくなることもあり得ます。

さらに、表面処理にムラが出て見た目や耐久性に影響することもあります。

こうした問題が、クレームやリコールにつながることもあるので、注意が必要です。


バリによる製品不良とその影響


バリによる製品不良

組立不良

部品が上手く接合出来ず、組立出来ない

電気不良

バリによるショートや、漏電

動作不良

可動部が引っ掛かりスムーズに動かない

安全性の問題

鋭利な部分で怪我のおそれ


バリによる影響

品質の低下

製品への信頼性が落ちる

歩留まりの悪化

生産性の低下

コスト増加

手直し等の追加工程が増え、製造コストが上がる

クレーム、リコール

バリが残ったまま顧客に出荷されるとクレームになり、市場に出回るとリコール対象になる

安全リスク

バリによる怪我や機能障害になる



バリが引き起こす安全上の問題について

作業者への怪我

鋭利なバリに触れる事で、指や手を切る、バリが飛ぶ事で、目の損傷の危険性

機械への悪影響

バリが機械可動内部で脱落すると可動部で引っ掛かり動作不良と部品の磨耗に繋がる

医療部品等

バリが体内に脱落し人体に損傷を負わせる危険性

食品加工部品等

バリが口内、食道等、臓器系で脱落し人体に損傷を負わせる危険性

エンドユーザー等の怪我

客先でのユーザーの怪我に繋がる危険性、クレーム、リコール等で会社への信頼損失



バリの取り方たと工具


手作業でのバリ取りのコツ


手作業でのバリ取りのコツは、適切な力(圧力)と角度、その製品に適したヤスリです。


力を入れすぎると処理した箇所だけ凹んでしまったり、小さい製品の場合、手元から製品が離れ、怪我につながってしまいます。


適切な角度でない場合、しっかりバリが取れなかったり、処理した箇所だけ周辺と角度が合わずに製品のクオリティに影響が出てしまいます。


適したヤスリを使うことで作業時間の短縮や、微細な調整が可能となります。



バリ取りに使うおすすめの工具


・精密ヤスリ

目の細かいヤスリで、精密性に特化したヤスリです。


・組みヤスリ

精密ヤスリよりも目が荒く、少し大きな製品や、やや大きなばりをとる時に使ったりします。


・ダイヤモンドヤスリ

バリ取り能力が高く、耐久性が強いヤスリです。

そのため、焼入れ(鋼材を固くするための熱処理)が施された硬い製品などに適しています。

焼入れがされていない製品に使用する場合、過度な力を加えると削りすぎてしまうために微細な力加減が必要になります。


・ハンドリューター

電動式で先端にヤスリが付いており、回転させてバリを取ります。

回転速度の調整や、多種多様のヤスリが交換可能で、そのバリ取りに応じた作業ができます。



バリ取りの主な方法とその特徴


棒ヤスリは、棒を押すことによって切削できます。

押す、引くを同じ力でかけている人がいますが、引く時は力を入れる必要はありません。


手作業では柔軟なバリ取りが可能。

力の強弱、角度がその都度調整でき、狭い部分にも対応できます。


作業者の技術によって仕上がりにバラツキがでてしまいます。

また、時間と手間がかかる場合があります。




ロボットを使ったバリ取りの自動化


バリ取りの自動化は、製品の品質向上や作業の省人化を目的として、近年ますます注目されている製造工程の一つです。



自動化に使われる主な技術


●産業用ロボット

多関節ロボットに工具を取り付け、ワークに沿って動作します。


●協働ロボット

安全性を確保しながら人と一緒に作業できます。(小型部品向け)


●力覚センサー

接触圧を検出して「当てすぎ」「削りすぎ」を防止します。


●ビジョンシステム

カメラでバリの位置を認識し、柔軟な位置補正が可能になります。


●CNC専用機

専用の機械加工機で正確かつ高速にバリ取りが可能になります。(大量生産向け)




バリ取りを自動化するメリット


バリ取りを自動化することで得られるメリットは複数あります。



●作業効率の向上

人手作業を自動化する事で、24時間体制での稼働が可能になり、生産性が向上して生産量も増加します。


品質の均一化

機械による作業は、作業者によるムラや人為的なミスを減らし、製品の品質を安定させます。


コスト削減

人件費や材料費などのコストを削減できます。


作業者の負担軽減

刃物や研磨工具を扱う危険な作業を機械に任せることで、作業者の負担を軽減し、安全性向上に繋がります。



バリ取り機の導入事例


【導入事例①】精密機械部品(アルミ鋳造品)


◆導入前の課題

加工後に発生するバリを手作業で除去していたが、時間がかかり、作業者の安全性にも問題があった。


◆導入設備

CNC旋盤


◆効果

 ・加工時間の短縮

 ・製品精度の均一化

 ・労働災害リスクの低下

 

【導入事例②】工作機械(板金部品)


◆導入前の課題

板金のエッジにバリが残り、組み立て時に干渉・不具合が発生。


◆導入設備

回転式バリ取り専用機(回転ブラシ式)+自動搬送装置


◆効果

 ・毎時の処理能力の向上

 ・エッジ仕上がりが均一化し、後工程での修正がほぼゼロに

 ・作業者依存の排除



【導入事例③】医療機器部品の精密加工(精密ステンレス部品)


◆導入前の課題

極小部品で手作業が難しく、部品欠損のリスクが高かった。


◆導入設備

CNCマシニングセンタ + 小径工具で微細なバリを除去


◆効果

 • 工具自体が加工→バリ取りを同時に行う工程設計で工数削減

    • 異物混入リスクも大幅低減




バリの抑制と発生防止


バリの発生を防ぐための対策


バリを抑えるにはとても多くの要素があり、それぞれに注意が必要です。


  • 切削速度や送り速度を適切に設定する

    過度な速度や送り量は、材料に過剰な力が加わり、バリの原因になります。


  • 工具の摩耗を防ぐため、定期的に交換・点検する

    摩耗した工具は切れ味が落ち、材料をきれいに切断できずバリが出やすくなります。


  • 材質や形状に合った刃物を選定する

    アルミには高速度鋼(HSS)、ステンレスには超硬工具など、素材に応じた工具選びがバリ抑制につながります。


これらの対策は、加工の安定性を高め、後工程でのバリ取り作業を減らすことにもつながります。


バリを発生させないための工夫


プログラムの工夫によってもバリの発生を抑えることができます。特に以下の点が効果的です。


  • 切削の順序や工具の進入角度を調整する

    バリが出やすい箇所を事前に把握し、加工の順番や工具の動きを工夫することで、突起の発生を防げます。


  • 加工プログラムに自動バリ取り機能を組み込む

    NC旋盤には、加工後にバリを除去する「バリ取りサイクル」と呼ばれる機能を持つものもあります。これを活用することで、手作業によるバリ取りの手間を減らし、作業効率が向上します。


  • 仕上げ加工を追加する

    微細なバリを除去し、より滑らかな表面に仕上げることで、製品の品質と見た目を向上させます。


これらの工夫は、製品の信頼性を高めるだけでなく、作業者の負担軽減や生産性の向上にもつながります。




バリ取りの基本知識まとめ―加工後の仕上げで差がつく!


バリは加工方法や条件によって出てしまうことがあり、放っておくと製品の不具合やケガの原因になることもあります。


だからこそ、バリ取りはとても大切な作業です。


加工の順番や工具の使い方を工夫することで、バリが出にくくなることもあります。


工夫しても出てしまう場合は手作業で丁寧に削ったり、専用の道具や機械を使ったりして、製品をきれいに仕上げることができます。


加工時や、加工後にバリ取りをしっかり行うことで、安心して使える製品づくりにつながります。


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