ギア加工とは?基本から押さえる歯車の種類・加工・製造工程ガイド
- waki11
- 2月28日
- 読了時間: 5分

ギア(歯車)は、機械の動力伝達に欠かせない部品であり、自動車や産業機械、ロボットなど幅広い分野で使用されています。
そんな多くの分野で活躍しているギアは、どのように作られているのでしょうか?
簡単に例を挙げると切削・研削・成形など多様な方法があります。
本記事では、ギアの代表的な加工方法、製造工程までをわかりやすく解説します。
ーもくじー
ギア加工とは
ギア(歯車)を切削や研削などの方法で成形する技術の事です。
代表的な歯車の種類
![]() | スパーギア平歯車(スパーギア)は歯を回転軸に平行に切った円筒歯車の1つで、動力伝達用として幅広く使用されます。 |
![]() | ヘリカルギア歯スジがねじれてる円筒歯車で、噛み合い率が高く滑らかに回転し、歯当たりが分散される為騒音が軽減、平歯車より強度も高いです。 |
ベベルギア
傾斜のある傘のような形の歯車で、直角に交差する2軸間で回転を伝達する装置です。
ラックピニオンギア
ラックと呼ばれる歯が等間隔で刻まれた平なら板や棒で、円筒歯車の直径が無限大となった歯車とピニオンと呼ばれる小歯車を組み合わせたものです。
歯車性能を左右するのが「歯形」です。
代表例として「インボリュート歯形」が挙げられます。
インボリュート歯形
インボリュート歯形は、現在多くの歯車で採用されている歯の形状です。
この歯形は、歯車の歯が滑らかに噛み合い、力を効率的に伝達するよう設計されています。その特長的な形状は、「円から糸を引っ張りながら解き放つときの曲線」(インボリュート曲線)を元にしています。
品質管理と計測
ギア加工では、製品の性能や耐久性を左右するため、徹底した品質管理が欠かせません。加工精度の管理や適切な素材選定に加え、摩耗防止やトレーサビリティの確保が重要です。
品質管理の主なポイント
1. 加工精度の確認
歯車の寸法や形状を正確に仕上げることで、スムーズな動力伝達を実現します。
2. 素材と処理の適正化
適切な材料と熱処理で、耐久性や摩耗抵抗を向上させます。
3. 摩耗防止の検査
実際の使用条件を想定した検査を行い、長期間安定して使用できる品質を保証します。
4. データの記録管理
製造・検査データを記録し、不具合時の迅速な原因特定と改善に役立てます。
計測の主なポイント
1. 歯形誤差
設計どおりの形状か確認し、スムーズな動作を保証。
2. 歯車の振れ(偏心)
回転中心とのズレを測定し、正確な動力伝達を確保。
3. 歯面粗さ
摩耗や摩擦を抑える滑らかな仕上がりを確認。
これらの検査には、歯形測定器や三次元測定機を用いて、高精度の評価が行われます。
品質管理と計測を徹底することで、歯車の信頼性を確保し、高性能な製品の製造が可能になります。
ギア加工の基本的な加工方法
ギア加工の歯車を削ることを「歯切り」と呼び歯車の精度が重要な工程です。
歯車も形状や目的によって加工方法が変わります。
歯切りの加工方法を2種類紹介します。
*創成法(ホブ盤加工)歯車全体を少しずつ削る
*成形法(ギアシェーパーなど)ひと溝ずつ削る
ギア加工で使用する工作機械
■ホブ盤

ホブ盤(ホブばん)とは、歯切り盤の一種。
ホブと呼ばれる刃物と製品を回転させながら歯切り加工を行う工作機械です。
ホブの回転速度に応じて、適切な速度で歯車素材を回転させることで、歯車素材の全体が徐々に創成加工されます。
ホブ盤の特徴は生産性が非常に高いことです。
この特徴から、ホブ盤はあらゆる歯車の歯切り加工で使用されています。
一般的には、平場歯車・はすば歯車、ウォーム歯車などの歯切り加工に用いられることが多いです。
■NC歯車加工機
旋盤などを基本とした複合加工機が普及しつつあります。
これはブローチ加工(穴の内面加工)やミーリング加工(切削)、ホブ加工を一貫して行う複合機で、段取り替えを極力少なく済ますことができ、歯車の効率的な生産に役立っています。
数あるNC歯車加工機の中でも、NCホブ盤は代表的なものの一つで、自動車産業などで広く用いられています。
加工精度や生産効率を追求した機種が多数開発されていて、歯車の生産で威力を発揮しています。
このほかにNC歯車加工機として、精度の高い歯切りが可能な「形削り盤」をはじめ、焼き入れ加工を施した歯車を削る「研削盤」、焼き入れ後の研磨加工を行う「ホーニング盤」、仕上げ加工を行う「シェービング盤」などがあります。
これらはいずれも高精度な歯車をつくるために用いられます。
ギア加工の応用と今後
ギア加工は、自動車や産業機械、航空宇宙分野から精密機器まで幅広い分野で応用されています。
高精度な歯車は、省エネルギーや静音性が求められる現代の技術に不可欠な存在です。
今後は、軽量化や高強度化を実現する新素材や加工技術の開発が進むとともに、AIやIoTを活用した製造プロセスの最適化が期待されています。
これにより、より効率的で環境に配慮した製品づくりが可能になるでしょう。
このように、ギア加工は未来の技術革新を支える重要な分野として発展を続けています。
まとめ:ギヤ加工は用途や精度によって多様な方法がある
ギア加工は用途や精度によって多様な方法があり、それぞれの特性を理解することが大切です。
本記事では、ギアの種類、加工方法、製造工程について解説しました。
ヤマトではホブ盤を使ったギア加工や、複合旋盤を使用したギア加工などが可能です。
お見積依頼など、お気軽にお問い合わせください。
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